住宅や店舗の仕上がりに大きな影響を与える建材の1つが「床材」です。用途や設置場所に適した素材を選ぶことで、見た目の印象だけでなく、快適性や耐久性にも差が出ます。


この記事では、天然木をはじめとするさまざまな床材の種類や特徴、費用相場を紹介します。また、お部屋別に適した床材の選び方もまとめました。施主の内装工事を検討中の方は、仕入れ時の判断材料として参考にしてください。

天然木の床材の種類

天然素材ならではの風合いや経年変化を楽しめるのが木質系床材の魅力です。とくに、質感や性能にこだわりたい場所に適しています。ここでは、以下2つの床材を説明します。


  • 無垢フローリング

  • 複合フローリング


それぞれの特徴や違いを把握し、適材適所の判断に役立てましょう。

無垢フローリング

1本の木材から切り出された自然素材で作られた床材です。天然木ならではの風合いや色合いの変化が楽しめるため、質感や見た目にこだわる空間に多く採用されています。


形状

  • 1枚板で構成

  • 厚みは15mm〜18mm前後

  • 釘打ちや接着で固定して施工

メリット

  • 調湿性・断熱性があり、室内環境を快適に保つ

  • 長く使うほど味わいが増す

デメリット

  • 湿度変化により反りや割れが起こりやすい

  • 価格が高め

  • 施工や保管に注意が必要


自然の素材感を重視する現場では、とくに価値の高い床材といえるでしょう。


複合フローリング

寸法安定性に優れた基材の上に仕上げ材を重ねた多層構造の床材です。表面仕上げの違いにより、以下3つのタイプに分類されます。


  • 挽き板

  • 突き板

  • シート


それぞれ見ていきましょう。

挽き板フローリング

表面に2mm以上の厚さをもつ天然木を使用した複合フローリングの高級仕様です。無垢材に近い質感と耐久性があり、自然な木目や触感を再現できます。


基材には合板が用いられ、湿度変化による反りや割れを抑える構造です。床暖房に対応した製品が多く、性能と見た目を両立したい現場に適しています。


形状

  • 表面:挽き板/基材:合板などの安定材

  • 総厚は12〜15mm程度

メリット

  • 木の美しさを活かしつつ、湿度変化に強い

  • 床暖房対応製品が豊富

デメリット

  • 材料費・施工費ともに高め

  • 重さや厚みから施工の手間がかかる


住宅だけでなく、ホテルや店舗など高級感が求められる空間への導入が増えています。

突き板フローリング

天然木を0.3〜0.5mm程度の薄さにスライスし、基材に貼り合わせた構造のフローリングです。表面に本物の木を使用しているため、天然の木目や風合いを十分に感じられ、挽き板よりもコストを抑えられます。


基材は合板が多く、寸法の安定性があり施工もしやすいです。住宅やマンションのリビングなど、木のぬくもりと価格のバランスを求める場所で採用されています。デザインのバリエーションも豊富です。


形状

  • 表面:突き板(薄い天然木)/基材:合板

  • 厚さは約12mm前後

メリット

  • 自然な木目を活かしつつコストが抑えられる

  • 施工しやすい

デメリット

  • 表面が薄いため深い傷に弱い

  • リペアが難しい


価格と見た目のバランスを重視する場合に適した選択肢といえるでしょう。

シートフローリング

木目調の印刷を施した化粧シートを表面に使用し、合板やMDFなどの基材に貼り合わせた床材です。表面が樹脂やオレフィン素材で加工されており、耐水性に優れています。掃除がしやすく、飲食店やペットのいる家庭などにおすすめです。


さらにデザインバリエーションが豊富で、近年はリアルな木目調も増えています。コストを抑えながら完成度の高い内装が実現できますが、天然木特有の質感を求める場合は物足りなさを感じるかもしれません。


形状

  • 表面:印刷シート(オレフィン・樹脂)/基材:合板またはMDF

  • 厚さは6〜12mmが主流

メリット

  • 耐水性やメンテナンス性が高い

  • デザインバリエーションが豊富

デメリット

  • 天然木のような質感は乏しい

  • 傷が深くなると補修が難しい

  • 劣化時は、貼り替えが必要


定期的に貼り替えが求められるマンション・アパートや、汚れやすい子ども部屋に向いています。

その他の床材の種類

木質系以外にも、施工性やデザイン性、コストパフォーマンスに優れた床材は数多く存在します。それぞれ用途や空間の雰囲気、メンテナンス性などの視点から選ばれやすいのが特徴です。ここでは、おもな5種類の素材を紹介します。


  • クッションフロア

  • タイル

  • フロアタイル

  • カーペット


最適な床材選定に役立ててください。

クッションフロア

塩化ビニル樹脂を使用したシート状の床材で、表面にはリアルな木目やタイル調などの柄が印刷されています。裏面のクッション層により踏み心地がやわらかく、防音効果もあるため、集合住宅や店舗に最適です。


また、ハサミやカッターで簡単に加工できるため、施工性にも優れています。水や汚れに強く、トイレや洗面所、キッチンなどの水回りに使われています。価格も手頃で、リフォームの際に重宝される素材です。


形状

  • 塩化ビニル製のシート状

  • 裏面にクッション層あり

  • 厚みは1.8〜3.5mm程度

メリット

  • 防水性・耐汚性が高く、手入れが簡単

  • 価格が安く、貼り替えしやすい

デメリット

  • 強い衝撃で凹みや傷が残りやすい

  • 高級感はやや劣り、家具の跡がつきやすい


シミになりにくく洗剤でお手入れできるため、掃除を簡単に済ませられるのも利点です。

タイル

磁器や陶器でできた無機質な素材で、高い耐久性と耐水性を備えています。屋内外問わず使用され、とくに玄関や水回り、土足歩行がある商業施設などで多く活用されています。


表面がツルツルとした光沢のあるタイプから、滑りにくいマット仕上げまで幅広く展開されており、デザイン性を重視する空間に最適です。


形状

  • 磁器や陶器を焼成した硬質素材

  • 正方形や長方形など形状

  • サイズが豊富

メリット

  • 優れた耐水性・耐久性で、土足に強い

  • デザインの自由度が高い

デメリット

  • 冷たく硬いため、転倒時のリスクや冬場の使用感に注意を要する

  • 破損時の交換に手間がかかる


ただし、素材が硬くて冷たく感じやすいため、スリッパの使用や床暖房との併用が推奨されます。衝撃時には割れることもあるため、施工環境には注意が必要です。

フロアタイル

塩ビ(PVC)素材を使用したタイル状の床材で、木目調や石目調などリアルな質感を高精度に再現できる点が魅力です。接着剤で1枚ずつ貼る施工方法が一般的で、部分的な貼り替えや自由なレイアウトが可能です。


クッションフロアと比べると価格はやや高いものの、質感や耐摩耗性に優れ、店舗やオフィスなど人の出入りが多い空間に適しています。


形状

  • タイル状の塩ビ素材

  • 厚さは2〜3mm程度

  • 接着施工またはクリック式

メリット

  • 木目・石目などの質感がリアル

  • 部分的に貼り替え可能

  • 土足対応で耐久性が高い

デメリット

  • クッション性は少なく、衝撃を吸収しにくい

  • 施工に接着剤や下地調整が必要な場合あり


最近では、クリック式で施工可能なDIY向け製品も増えています。

日本古来の床材です。表面にはイグサや和紙、樹脂などが使われ、内部に藁や建材ボードを用いて構成されています。やわらかく温かみのある感触に加え、吸湿性や断熱性に優れており、和室特有の落ち着いた雰囲気を演出できるのが魅力です。


近年はアレルギーやダニ対策として、防カビ・防虫・撥水加工された高機能畳が登場しており、メンテナンス性も改善されています。


形状

  • 芯材+畳表

  • 伝統的な藁床のほか、建材畳・和紙表・樹脂表などの種類あり

メリット

  • 吸音性・断熱性に優れ、素足で心地よい

  • 視覚的にも落ち着きがあり、和空間に適している

デメリット

  • 湿度管理が必要で、メンテナンス頻度が高い

  • 表面が傷みやすく、重い家具の跡がつきやすい


ただし、湿気の多い場所ではカビや劣化が進行しやすく、定期的な表替えや交換が必要です。

カーペット

繊維素材で構成された床材で、やわらかく暖かみのある足触りが魅力です。ウールやナイロン、ポリプロピレンなど、素材によって耐久性や手入れのしやすさが異なります。防音性・断熱性に優れており、集合住宅やホテルの客室、書斎、寝室など静けさと快適性が求められる場所で活用されます。


施工形態は部屋全体に敷くロールタイプと、タイル状に設置できるタイルカーペットの2種類です。


形状

  • ロールタイプとタイルタイプあり

  • 素材は天然繊維または合成繊維

  • 厚み・色柄が豊富

メリット

  • 防音性・断熱性に優れ、快適な足触り

  • 豊富な色柄があり、室内の雰囲気に合わせやすい

デメリット

  • 汚れが染み込みやすく、定期的なクリーニングが必要

  • ダニやカビ対策が不可欠


汚れやダニが気になる場合は、防汚・抗菌加工された製品を選ぶことで衛生面の不安を軽減できます。

種類別の床材の価格相場

床材を選定する際、デザイン性や機能面に加えて価格も重要な判断要素です。種類によって単価が大きく異なり、施工費や作業時間も素材ごとに変動します。以下に代表的な床材の1㎡あたりの参考価格をまとめました。


床材の種類

材料費(1㎡あたり)

無垢フローリング

8,000~2万円

挽き板フローリング

7,000~1万5,000円

突き板フローリング

5,000~1万円

シートフローリング

3,000~6,000円

クッションフロア

2,000~4,000円

フロアタイル

3,000~7,000円

タイル

6,000~1万2,000円

畳(本畳)

8,000~1万5,000円

カーペット

3,000~8,000円


一般的に天然素材ほど費用が高く、シートや塩ビ製の床材は比較的リーズナブルに抑えられます。また、製品によってはグレードや施工条件で価格が前後します。

部屋別のおすすめの床材

使用目的や過ごし方に応じて、部屋ごとに適した床材を選ぶことが重要です。ここでは、おもな6つのシーンに最適な床材を紹介します。


  • リビング

  • 寝室

  • 子ども部屋

  • キッチン・トイレ

  • 玄関

  • ペット飼育


それぞれ施主の環境と照らし合わせて参考にしてください。

リビング

家族が集まるリビングには、見た目の美しさと快適性を兼ね備えた床材が適しています。温かみのある質感で、くつろげる空間を演出できる床材を選ぶとよいでしょう。調湿性に優れているものを選ぶと、室内環境をより快適に保てます。


おすすめの床材

  • 無垢フローリング

  • 挽き板フローリング

  • 突き板フローリング


見た目に高級感があり、長く使うほど味わいが増す床材がおすすめです。

寝室

静かにくつろぐ寝室には、防音性や断熱性のある床材がおすすめです。足音が響きにくく、冬場でも冷たさを感じにくい素材を選ぶと快適でしょう。加えて音の振動を抑えつつ、足元の冷えを軽減できる素材が理想です。


おすすめの床材

  • タイルカーペット

  • 突き板フローリング

  • シートフローリング


落ち着いた色合いとやわらかい質感が、安眠できる空間を演出します。

子ども部屋

子どもは激しく動き回るため、安全性や掃除のしやすさが重要です。万が一の転倒時にも安心できるクッション性の高い素材を選びましょう。汚れに強く、お手入れがしやすい床材なら衛生面でも安心です。


おすすめの床材

  • クッションフロア

  • タイルカーペット

  • フロアタイル


やわらかくて滑りにくく、傷や汚れに強い素材を選ぶと、メンテナンスしやすいです。

キッチン・トイレ

水や油が飛びやすいため、防水性と耐汚性を備えた床材が適しています。滑りにくさや清掃のしやすさも重視することがポイントです。明るい色味を選ぶと清潔感のある空間に仕上がります。


おすすめの床材

  • クッションフロア

  • フロアタイル

  • シートフローリング


防水性が高く、簡単に拭き取れる床材なら手入れに時間を取られません。

玄関

土や雨水が入りやすいため、耐久性と防水性のある床材が最適です。重い荷物や傘などが置かれることも想定し、摩耗や汚れに強い素材を選びましょう。見た目の印象も重視したい場合は、模様や質感にもこだわってください。


おすすめの床材

  • タイル

  • 屋外対応フロアタイル

  • ノンスリップ床材


高い耐久性と滑りにくさを兼ね備えた素材を選ぶとよいでしょう。

ペット飼育

ペットと暮らす空間には、滑りにくく傷に強い床材が求められます。防臭や抗菌機能付きの素材を選べば、衛生面の管理もしやすくなります。ペットの足腰を守るためにも、衝撃を吸収するタイプが理想です。


おすすめの床材

  • シートフローリング(ペット対応)

  • 防滑フロアタイル

  • クッションフロア(防臭タイプ)


とくに小型犬は関節が弱く、滑りやすい床面は大きな怪我につながります。滑り止め加工が施された床材を選びましょう。

まとめ:床材は種類が豊富!シーンに合わせて選びましょう

使用する空間や目的によって適した床材は異なります。場所ごとに床材を使い分けることで、見た目の統一感だけでなく、快適性や安全性も高められます。リビング・寝室・子ども部屋など、それぞれ施主の暮らし方に寄り添った素材選びが重要です。施工費や耐久性も含めた総合的なコストバランスの考慮により、満足していただける仕上がりになるでしょう。


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